『きたやじ オン・ザ・ロード〜いざ、出立!!篇〜』
はじまり、はじまりのSP鼎談

2024.08.28

本格的な夏が始まった某日。
情報解禁第1弾に際し中川大輔、牧島 輝、ウォーリー木下による鼎談が行われた。すでに本作を駆け抜ける準備万端!意気込みや期待などが語られた。

中川大輔、牧島 輝、ウォーリー木下

見たことのない世界へ飛びたい!

ウォーリー木下 やっと会えましたね。はじめまして。二人とも男らしい!

中川 ありがとうございます。ウォーリー木下さんが以前手掛けられた『バクマン。』を拝見したのですが、原作を大切にしつつも飛躍する演出が素晴らしくて感動しました!
自分も見たことのない世界に飛べるのかもしれないと思うと楽しみでなりません。

ウォーリー木下 今回、「東海道中膝栗毛」をベースに、「男はつらいよ」「水戸黄門」に代表される昭和の“世話もの”をオマージュした新作の演出の話をいただいて。今まで人情もの、世話もの、時代劇はあまりやってこなかったけれど、原作は好きな作品だし、見たことのないものが作れそうだなと率直に思いましたね。

「東海道中膝栗毛」を初めて読んで

中川 自分も勧善懲悪ものが好きでしたし、そういう舞台をお客さんとして見たいと思っていたので、「自分がその世界に入れるんだ」ということが素直に嬉しかったですね。「東海道中膝栗毛」については「題名と作者は聞いたことがある」くらいで、今回初めて読みました。舞台化にあたって現代のエンタメに脚色されているので、原作ものというわけではないですが、根底に流れる義理人情は大切にしたいなと思っています。

牧島 僕も出演が決まってから初めて「東海道中膝栗毛」を読みました。特に事件が起こるわけでもなく、道中の人々との交流やばかばかしいエピソードが描かれているだけなのですが、そのくだらなさが逆に愛おしいというか。登場人物の会話や描写の中に、今読んでも共感できる部分がたくさんありました。作者の遊び心も見え隠れして、メタ的な要素も結構ありましたね。現代を生きる自分たちの感覚を交えながら新しい作品を作れるのは面白そうです。

牧島 輝 中川大輔
牧島 輝 / 中川大輔

役作りのために東海道も歩く?

ウォーリー木下 今作は“バディもの”が核になっていて。二人は十返舎一九の墓参り(月島・勝どきにある「東陽院」)も行ったとか。

中川 はい、「喜多さん」を演じます、よろしくお願いしますと挨拶してきました。

牧島 「弥次さんを演じます牧島です」と。

中川 原作を読んでから行ったので、十返舎一九先生の人間性をわかった上で、挨拶できたような気がしました。「ああそうか」と言ってくれているような。そんな感じがしました。

牧島 「勝手にやってくれい」と言ってくれたような。

ウォーリー木下 原作の二人は歳の離れた設定だけど、今回は幼馴染。二人は今回初共演ってことだけど。

牧島 でも、この間会って、もう友達になったんで。

中川 すごく濃い時間になったんです。ご飯食べて、たくさん話しをして、だいぶ記憶に残る時間を過ごせました。幼馴染に匹敵するぐらいの共通の思い出ができました。

牧島 役者によると思うけど、幼馴染という役を演じる上で、距離が近くなるような「あの日面白かったね」って思い出があるって大事で。それがあるだけで演じ方とか距離感とかって変わる気がするから、すごいいい一日だったよね。

中川 まだ公演まで半年あるので、東海道も歩いてみたいなって。

牧島 俺、すぐ文句言うだろうな(笑)。

中川 途中で「足痛い」って言ったら置いていっちゃうかも。

走る、歌う、踊る、殺陣もある

ウォーリー木下 心強い。キャラクターが見えてきました。作品にもふたりの強いパッションが溢れそうです。「東海道中膝栗毛」が書かれた江戸時代、そしてコロナ禍も移動の制限があったわけですが、そんな中で放浪の旅を続ける「きたさん」「やじさん」の生き方って精神的な自由さを感じさせてくれると思うんですよ。目的はないけど「行くぞ!」みたいな。見ている人もその一歩を踏み出せるような作品になるといいなと思っています。その意味でも、作る僕らは既成概念にとらわれないことが大事で。思い切った演出を考えたいですね。

中川 走る、歌う、踊る、殺陣もある。

ウォーリー木下 タイトルにある「オン・ザ・ロード」は実は1960年代のアメリカの有名な小説から取っているんですけど、その時代のアメリカはベトナム戦争もあり、自分たちがどうやって自由を手に入れるかってことを考えていた時代で。自分たちが手にしたいものを求めながら、ときに破滅的に突き進んでいく様も演出に入れ込みたいなと。運動量は相当多いんじゃないかな。

中川 まだ準備が半年間あるので。動いた時の熱量が客席に届く身体性を整えたいと思います。

牧島 まあ、あとは真剣にゼーハー言っても、面白さが成立しそうですよね。とはいえ、大声を出し続けられる体力はつけたいです。

ウォーリー木下
ウォーリー木下

真剣に演じることで起こる笑いを

ウォーリー木下 喜劇なんでね、笑いも大事です。

牧島 コメディーって得意?

中川 いやー、僕はわからない。真剣に演じるってだけで。真剣にやっていたら笑いが起こったらいいなって感じです。

牧島 いろんな笑いが出たらいいかな。普通の会話の中でも、ニヤニヤ見ちゃうような笑い。笑わせにいくっていうより、「へへへ」と見てられる瞬間がたくさんありそう。

中川 仲がいいゆえに、悪口言っても笑っちゃうような関係性が伝わればいいなと。なんかそれこそ「男はつらいよ」では寅さんが通りすがりのおっちゃんに「おい、お前、バカか」と言うだけでも笑いが起こる。どうして面白いのか、それを理解できたら、役にも取り入れられるかなって思いました。その会話が成立する、許される関係性に説得力があれば、面白くなるんじゃないかと。

牧島 「男はつらいよ」の世界って、さほど遠くない過去なのに、自分たちの世代から見ると普通じゃない感覚があって。非日常に触れる心地よさというか、不思議とこうなれたらいいなって思えるのかもね。

中川 「こんなふうになれたらいいな」は結構あるかも。下町って憧れます。

牧島 俺も好きかも。

中川 すっと懐に入れちゃう愛嬌とか。そういう面白さがこの作品にも通じたらいいなと思います。

観客も一緒に旅する感覚で見られる舞台を

ウォーリー木下 ロードムービーのバディものの面白さも、二人の関係性にあらわれますよね。絆が感じられるほど、観客は3人目の旅人として旅している気分になれるというか。二人の悲しみ喜びに感情移入ができるし、「頑張れ」って思えるし。一緒に旅に連れて行ってくれる感覚になれるのはバディものの醍醐味だと思います。役者にとっても二人で一つの空気を作るというのは、一人では到達できない面白さがあるんじゃないかな。いやーそれにしても、生身の二人に会うと、情報量が違いますね。

中川 今作の設定と同じくらいの年齢差です。

牧島 僕が2つ上。

ウォーリー木下 それぞれの個性としても、補完し合う関係ができそうです。ここじゃないどこかへ旅する二人は、かっこよくも見えるけど、実際はここにいられないから旅するという弱さもあって。いたくてもいられない事情っていうのがあるんだよね。強さだけで前に進んでいるわけではなく、完璧じゃないからこそ二人でいるし、補完し合いながら旅をしているという部分も面白く描けたらいいかな。それは期待してます。

中川 もういっそ、年末のM1目指してみますか?(笑)

牧島 ってくらいの距離感、信頼感はあるよね。

中川 さらに半年かけて関係性を築いていきたいですね。

牧島 応援してもらえるコンビになれたらいいな。

中川大輔、牧島 輝、